「和食の基本は出汁」といわれるほどですので、私たちは出汁というとどうしてもかつおぶしなどの先に挙げたような素材を連想しがちですが、実は生の野菜からもおいしい出汁がとれます。身近な素材をいくつか取り上げてみましょう。
生の野菜からとる出汁
ネギ
肉や魚の臭みを消し、薬味としても引っ張りだこのネギ。こだわりのあるラーメン屋さんなどが、丸ごとのネギを他の食材と一緒に豪快に煮込んでいる姿などは、グルメ番組の定番シーンです。独特の臭みやツンとくる味覚も、他の食材に合わせるととてもおいしく感じられるから不思議です。スープを支える縁の下の力持ちといった存在といえるでしょう。
タマネギ
イタリアンやフレンチといった洋風料理の基本野菜であるタマネギは、まさに万能選手で、スープにはなくてはならない存在です。
また、刻んだりすりおろしたりすればソースの隠し味になりますし、ひき肉に混ぜて練ると独特の甘みがお肉のうま味をより引き立たせてくれます。
ゴボウ
最近はサラダも人気ですが、やはり和食では汁物に欠かせない素材です。牛肉などの肉類とは味の相性も良く、また、ドジョウやウナギなどの川魚の臭みも消してくれるので、鍋物などにも重宝します。
体を温める効果もあるので、スープの具としてもぜひ使いたい素材です。ポリフェノールの効果を期待して「ごぼう茶」などもブームになっていますが、スープに使っても抜群の出汁素材となります。
トマト
トマトは、世界で一番スープに用いられている野菜と言ってもいいでしょう。
スープの歴史の中にトマトが登場するのは17世紀以降のことです。これほど広く利用されているトマトですが、意外にも南米からトマトがもたらされた当時は、ジャガイモ同様に毒が含まれていると考えられてすぐには普及しませんでした。
19世紀になると、さまざまなスープにトマトが用いられるようになります。欧米のスープやソースには、トマトを使ったものが豊富です。また、ファストフードにはトマトケチャップが欠かせませんし、ミネストローネなどをはじめとするトマトをベースにしたソースやスープは、さまざまなバリエーションもあります。
トマトにもたっぷり含まれるアスパラギン酸
なぜこれほどまでにトマトが利用されるかというと、トマトには豊富なうま味成分が含まれるからです。トマトには、グルタミン酸はもちろんのこと、同じアミノ酸系のアスパラギン酸といううま味成分もたっぷりと含まれています。
トマトは、生でそのまま食べてもおいしいですが、うま味成分を効率よく利用すると料理の名引き立て役にもなるすばらしい食材です。生だけではなく、ジュース、ピューレ、ドライトマト等々、トマトの加工品も多く、上手に使い分けることでトマトのうま味をより引き出すことができます。
白菜
鍋物や漬物には欠かせない白菜ですが、トマト同様グルタミン酸がたっぷりと含まれています。韓国のキムチに独特のうま味があるのは、発酵食品であるアミの塩辛などの魚介類のうま味と、白菜やニラなどのうま味が相乗効果を発揮しているからです。
白菜をゆでたときには、ぜひゆで汁もスープに利用しましょう。
■Lesson2-5 まとめ
- 生の野菜からも出汁をとることができる
- それぞれの野菜の持つ特徴や、具材との相性を考えて使用すると、野菜のうま味を十分に活用できる。





