Lesson 4-5 ロシア「ボルシチ」

ボルシチ (ロシア)

AS Food studio/Shutterstock.com

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ロシア料理としてピロシキなどともにすでに日本でも市民権を得ているボルシチは、実は厳密にはウクライナの郷土料理です。
ここから、東欧諸国やアジアに広まっていきました。ボルシチの特徴は、なんといってもその鮮やかなピンク色です。この色を出しているのが、材料の「テーブルビーツ(以下ビーツ)」です。

Ollinka/Shutterstock.com

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ビーツ(またはビート)という名前はケルト語の「赤」を意味する言葉からつけられたといいます。

日本にやってきたのは江戸時代ですが、そこでつけられた名前は、「火焔菜(かえんさい)」。江戸時代の人も、きっとこの鮮やかな赤い色には驚いたのでしょう。かなり情熱的な名前が付けられたものの、残念ながら広く普及するには至りませんでした。

また、蕪に似ているので「赤蕪」と呼ばれることもありますが、蕪の仲間ではなく、北海道で砂糖の原料として栽培されている「甜菜(てんさい)」の仲間です。ですから、ほかの野菜に比べて甘みが強いことが特徴です。

赤い根の部分だけではなく、若い葉(ベビーリーフ)はサラダなどにも用いられます。スーパーなどではまだあまりなじみのない野菜ですが、日本では夏から秋にかけて長野県、愛知県、静岡県などで生産されています。

ビーツの赤さの正体は?

ところで、ビーツのこの赤さの正体は何でしょうか。
赤紫色の色素の代表格であるアントシアニンを思い出された方もあるかもしれませんね。実はこの赤い色の正体は、アントシアニンを作り出すことができない植物が、赤や紫色を出すために作り出す色素で、「ベタシアニン」といいます。ほうれん草の根本は赤く色づいていますが、あの色素と同じものです。

ベタシアニンを含む植物は、あまり多くはありません。しかし、このベタシアニンという色素には、がんの予防に効果が期待されている強い抗酸化力があるとされているのです。さらに、甜菜の仲間なのでオリゴ糖や食物繊維といった整腸に効果がある成分も豊富です。そのほかにも、根にはビタミンC、葉には鉄分といった成分が含まれていますので、ぜひ食卓には取り入れたい野菜であるといえるでしょう。

Olha Afanasieva/Shutterstock.com

ローストすると、ビーツの甘味が引き立ち、また大変柔らかくおいしくなります/Olha Afanasieva/Shutterstock.com

≪材料(2人分)≫

ビーツは、寒い北方の国には欠かせない野菜。たっぷりの野菜と牛肉のうま味が魅力のスープです。鮮やかなピンクのスープとサワークリームの彩りもきれいです。

  • 牛すね肉:250g
  • にんじん:1本
  • セロリ:1/2本
  • じゃがいも:1個
  • ビーツ(缶):1/2カップ
  • キャベツ:大きめの葉2枚
  • サラダオイル:大さじ1
  • ブイヨン:4 1/2カップ(※4.5カップ)
  • 塩・こしょう:少々サワークリーム:適宜

 

≪作り方≫

  1. 牛肉を2㎝角に切ります。
  2. ジャガイモは皮をむき、セロリは筋を取ります。
  3. ジャガイモ・セロリ・にんじん・じゃがいも・キャベツをそれぞれ2㎝程度に切ります。
  4. ビーツは、1㎝角に切り、缶のなかの汁は捨てずにとっておきます。
  5. 鍋を熱してサラダオイルをなじませます。最初に牛肉とにんじん、セロリを炒めます。野菜がしんなりとしてきたら、ブイヨンを加えふたをします。弱火で1時間~1時間半程度、煮込みます。
  6. 5にじゃがいもとキャベツ、ビーツを加え、弱火で20分ほど煮たら、缶に残しておいたビーツの汁を加えます。好みで、塩とこしょうで味を調えます。
  7. 器に盛り、サワークリームを浮かべて出来上がりです。

 

■Lesson 4-5 まとめ■

  • ボルシチはロシア料理として知られているが、厳密にはウクライナの郷土料理である。
  • テーブルビーツの鮮やかなピンク色が特徴である。
  • テーブルビーツはほかの野菜に比べて甘みが強いことが特徴で、赤い根の部分だけではなく、若い葉(ベビーリーフ)はサラダなどにも用いられる。
  • テーブルビーツには強い抗酸化力があり、オリゴ糖や食物繊維といった整腸に効果がある成分も豊富。根にはビタミンC、葉には鉄分といった成分も含まれる栄養満点の野菜である。