「Porridgeポリッジ」と「Potageポタージュ」
英語で「Porridgeポリッジ」とは穀物のお粥のことです。現代では、もっぱらオートミールのお粥をさします。この言葉は、「potageポタージュ」から派生した言葉であるともいわれます。Lesson1-1で、ポタージュは「鍋で煮込んだ主食」のことであったと述べましたが、この鍋の中に入れられたのは、主に穀物や豆でした。これをたっぷりの水で煮てどろどろの状態にしたものが、ポタージュの原型というわけです。
このようにポリッジとポタージュの名称と見た目が似ているのは、もともと同じものであったからと考えられています。
スープと一緒に食べる「Sopソップ」
また、フランス語には「Sopソップ」という言葉もありました。スープを意味する言葉ですが、本来は煮汁をぬぐうために用いられたパンのことです。
フランス料理などでは、スープや料理に添えられたソースの余りをパンでぬぐいとって食べることがあります。実はこれは、パンがガチガチに固いものだったころの食習慣の名残りです。今日、私たちの食卓に並ぶパンはフカフカな状態を維持しつつ日持ちしますが、古い時代に人々が食べていたパンは、時間がたつとガチガチになってしまうものでした。ですから、そのパンをスープに浸して食べるという行為は、おいしい煮汁を無駄にすることなく、かつ固くなったパンを柔らかくするという一石二鳥の食べ方だったのです。
一日の終わりに取る軽い食事としても適していたこの食べ方は、やがて英語の「supperサパー(夕食)」となり、「soupスープ」は鍋の中の煮汁そのものをさすようになりました。スープの付け合せとして仕上げにクルトンを散らしたり、オニオングラタンスープにトーストを添えたりするなど、パンとスープを一緒に食べる習慣は現在でもよく見られます。
やがて、数世紀にわたってポタージュとスープの両方の言葉が料理書で用いられるようになりましたが、現在、フランスではスープといえばパン付きの汁物を意味します。
「スープ」と関連する「レストラン」の語源
おいしい食事を提供するお店である「レストラン」という言葉も、実はフランス語で健康を「回復させる(restaurer)」料理のことであったといいます。これは必ずしもスープに限ったわけではありませんでしたが、「レストラン」は革命前のパリで流行となり、消化が良く食欲のでる軽い食事であるスープそのものをさすようになりました。
転じて、スープのような体を回復させる食事を出す店が、レストランとなったわけです。
このようにスープという言葉を歴史的に見ていくと、スープからいろいろな言葉や文化が生まれていったことがわかります。
■Lesson1-2 まとめ■
- 穀物のお粥を指す「Porridgeポリッジ」は、「Potageポタージュ」から派生した言葉で、もともと穀物や豆をたっぷりの水で煮てどろどろの状態にした同じものだったと考えられている。
- フランス語には煮汁をぬぐうために用いられたパンを指す「Sopソップ」という言葉があり、一日の終わりに取る軽い食事としても適していたこの食べ方は、やがて英語の「supperサパー(夕食)」となり、「soupスープ」は鍋の中の煮汁そのものをさすようになった。
- 「レストラン」はもともとフランス語で健康を「回復させる(restaurer)」料理のことであったが、次第に消化が良く食欲のでる軽い食事であるスープそのものをさすようになり、さらにスープのような体を回復させる食事を出す店が、レストランと呼ばれるようになった。
