けんちん汁
多種の野菜を使った日本伝統の汁物です。しかし現代は、正統なけんちん汁を見かけることは少なくなりました。しかし、日本人としてきちんと知っておくことは伝統を伝えていく上でも大切なことなので、しっかりマスターしましょう。
「けんちん」ってなに?
けんちん汁の「けんちん」って何?とふと疑問に思った事はないでしょうか。また、改めて言われると、説明できる人が少ないこの疑問。
確かなことはわかっていませんが、神奈川県鎌倉市の臨済宗建長寺派の大本山「建長寺」で修行僧たちが作った精進料理という説と、江戸時代に伝わった中国風の精進料理である普茶料理の一つ巻繊(野菜や乾物を油で炒め、湯葉や卵で巻いて蒸したりあげたりする料理)からきているという説とがあります。
語源としては、建長寺の汁物が「建長寺汁」→「建長汁」→「けんちん汁」と訛っていったという説ですが、「汁」だけ訛らなかったことや、現在けんちん汁の漢字表記は「巻繊汁」であることなどから考えて、確立された説とは断定されていません。
けんちん汁=豚汁?
「けんちん汁」で検索すると沢山の画像がでてきます。全国展開するにつれて次第に地域色、時代色が加わるようになり親しまれるようになりましたが、これらの画像を見ていると、もう1つよく見慣れた物の名前も浮かびます。
そう、豚汁。
最近では「豚汁とけんちん汁って、何が違うの?」というような混乱もみられるようになり、一般んの方が投稿しているレシピ集などでは、レシピもとても似た物になっています。「けんちん汁」と「豚汁」とは、名前が違うだけで同じもの、と思っている人も多いようです。
しかし、実際には似て非なるものであることをご存知でしょうか。
けんちん汁と豚汁の違いをマスター!
正統派のけんちん汁を知る上で忘れては行けないことは、「建長寺」説、「巻繊」説いずれにしても、基本的には「精進料理」ですので、本来獣肉類が入らないということです。ここが豚汁との明確な違いでしょう。
また出汁も動物性のものは使わず、昆布と干ししいたけからとります。地域により、味噌仕立てにする場合と、しょうゆ仕立てのすまし汁仕立てにする場合とがありますが、建長寺で元々作られていたのはすまし汁仕立てでしたので、こちらを正統とする傾向が強いようです。
そしてもう1つの明確な違いは、実は具の下処理の仕方にあります。けんちん汁は、具となる野菜を一度油で炒めるのです。また、豆腐のさいの目切りは縁起がわるいということで、けんちん汁の豆腐は手でちぎって入れます。
実は豚汁とは明確な違いがあることが分かりますね。肉が入っていたり、味噌仕立てのものが間違っているわけではなく、そういったものは地域色、時代によって変化してきたものとして楽しみましょう。もし海外の方に作る機会や、正統なけんちん汁をつくる機会があったら、スープソムリエとして腕の見せ所ですね。
≪材料(2人分)≫
ほんのりと油の香ばしい風味が感じられる食べ応えのある汁物です。食物繊維をたっぷりとりましょう。
- ごぼう:30g
- 大根:60g
- にんじん:20g
- サトイモ:100g
- 木綿豆腐:100g
- 油:小さじ1
- だし:2カップ
- 塩:2g(小さじ1/3)
- しょうゆ:小さじ1
- 酒:小さじ2
- さやえんどう:4枚
≪作り方≫
- ごぼうはささがき、大根とにんじんは短冊切りにします。サトイモは輪切りにします。
- さやえんどうは、さっと茹でておきます。
- ごぼうを油で炒めます。だしを加えて、1の材料を煮ます。
- 野菜が柔らかくなってきたら、豆腐を手でちぎりながら加えます。塩・しょうゆ・酒で味を調えます。
- 器に入れて、さやえんどうをのせて盛り付けます。(さやえんどうがない場合は、青みを彩るために小口切りのネギでもかまいません。)
■Lesson 6-3 まとめ■
- けんちん汁は基本的には「精進料理」であるため、本来、獣肉類は入らない。
- けんちん汁は地域によって味噌仕立てにする場合と、しょうゆ仕立てのすまし汁仕立てにする場合とがある。
- 「豚汁」との差は具の下処理の仕方にあり、けんちん汁は、具となる野菜を一度油で炒める。また、本来は精進料理であったため出汁も昆布やシイタケでとる。

