「削りぶし」と「かつおぶし」
多くの人が日々の忙しさを感じ、それに伴い様々なものが便利になっている現代では、自分でかつおぶしを削る人はほとんどいないでしょう。これは、削る手間を省いた「削りぶし」が広まったことも理由の一つです。
小分けのパックに入った「削りぶし」は、とても便利ですがその中身は必ずしも「かつおぶし」とは限りません。「削りぶし」は、カツオのほかにも、サバ、マグロ、イワシ、アジなどがあります。これらが素材でも、品質表示上は「削りぶし」になっています。
さらに少しややこしい話になりますが、「かつおぶし削りぶし」と「かつお削りぶし」も違います。
かつおぶし削りぶしとかつお削りぶし
そもそも「かつおぶし」の「ふし」とは、魚の身を煮て煙でいぶし、乾燥させたもののことを指します。カツオの「ふし」なので、「かつおぶし」というわけです。もちろん、サバなら「さばぶし」ですし、マグロならば「まぐろぶし」です。
これにカビをつけることでうま味が増すのですが、先に述べたようにこのカビつけの作業を行ったものを「枯ぶし」、3~4回以上繰り返したものを「本枯ぶし」といい最上級の品質とされます。「かつおぶし削りぶし」とは、カビ付けを繰り返した枯ぶし・本枯ぶしなどのかつおぶしを削ったものとなります。
これに対して「かつお削りぶし」は、「かつお」の後に「ふし」が表示されておらず、カビつけ前の荒ぶしを削ったものになります。
前ページでカビ付け工程によるうま味の増大について学んだことを思い出すと、そのうま味に差が出ることも納得できますね。
料理によって使い分けることが大切
分類がややこしいかつおぶしですが、それぞれ明確な違いがあります。しかしこれは、どちらが良い悪いという話ではなく、料理によって使い分けることが重要となります。
一般量販店でかつおぶしを購入しようとすると様々な袋の表示を目にします。
- かつおかれぶし削り節(鰹枯れ節削り節)
- かつおぶし削りぶし(鰹節削り節)
- かつおけずりぶし(鰹削り節)
- はなかつお(花鰹)
さて、あまりにもたくさんあるので迷ってしまいますね。これらは「どのような工程により作られたのか」による違いですが、ではこれらは出汁にした際どのような違いがあるのでしょうか。
かつお枯ぶし削り節と 花かつお(かつお削りぶし)の違い
かつおかれぶし削り節10g と 花かつお(かつお削りぶし)10g を
それぞれ500mlの沸かしたお湯に入れて出汁をとってみましょう。
かつお枯ぶし削りぶし(カビ付けをした削りぶし)、花かつお(カビ付けしていない削りぶし)では、見た目にも差がありますし、その香りや風味にも実は違いがあります。
かつお枯ぶし削りぶしの特徴
- 薄い金色
- ツンとくるような香りの強さがなく、かつおの香りも柔らかい。カビの作用により、香りも花かつおとは少し異なる。
- 花かつおより出汁は薄いが、魚臭さがなくスッキリとして飲みやすい出汁。
花かつおの特徴
- 枯ぶしよりも濃い琥珀色。
- 香りも枯ぶしよりも強く、かつおの香りの奥に少し香ばしい香りがする。
- ハッキリと鰹の出汁とわかる味で、枯ぶし削りぶしの出汁と比べて魚臭さも出ている。
カビを付けていない削りぶしは味も香りもパンチがあり、カビを付けた削りぶしは上品で繊細で柔らかい出汁となります。
このように言われると、出汁としての力が弱いように感じる枯ぶしですが、その上品で魚臭さ(クセ)がない削りぶしを生かして、時間をかけてゆっくり火を入れることで濃厚でどっしりと重厚な出汁になります。特に関東を中心に使用される事が多く、枯ぶしを厚く削って30分~1時間近く煮出すこともあります。
反対に花かつおは魚臭さが強くなるので、軽くサッと出汁をひいてかつおをあげた方が美味しくなります。
家庭での使い分け
このようなかつおぶしをどのように使用するかは、料理にかけられる手間と時間や、作る料理にあわせた使い分けになってきます。家庭料理でだしづくりに30分はかけられない方が多いでしょう。この2つの特徴を押さえておけば、使い分けも難しくはありません。
かつお枯ぶし削りぶし
シンプルなお吸い物など、主張しすぎない香りと魚臭さを抑えて出汁をスッキリさせたい料理にはかつお枯ぶし削りぶしの出汁が適しています。また蕎麦のつけつゆ作りなど、少し時間をかけてじっくりと濃厚で厚みのあるかつおだしを取る時にはかれぶし削り節を使用してみましょう。
花かつおの特徴
煮物やお味噌汁などしっかりかつお出汁を効かせたいときは花かつおの出汁が適しています。
このように料理によって使い分けて頂くとスープだけではなく、その他の料理もいっそうおいしく引き立てることができます。また削りぶしは風味が命のため、できるだけ一度に使い切るようにし、残さないこともポイントです。
■Lesson2-3 まとめ■
- 削り節として販売されているものは、その中身は必ずしも「かつおぶし」とは限らず、サバ、マグロ、イワシ、アジなどの削りぶしの場合もある。
- 「かつおぶし削り節」は枯ぶしや本枯ぶしなどカビ付け工程を行ったかつお節を削ったもの、「かつお削りぶし」は荒ぶしを削ったものである。
- それぞれのかつお節から出る出汁を比較すると違いがあり、これは一概的な善し悪しではなく、用途により使い分けることが大切。



