Lesson2-9 肉から取る出汁③ うし

牛から取る出汁

DUSAN ZIDAR/Shutterstock.com

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Lesson2-8でうま味の相乗効果について、豚と昆布のうま味について学びました。このイノシン酸とグルタミン酸の組みあわせは最も多く用いられるうま味の相乗効果の組み合わせで、日本の出汁ではかつお節と昆布を掛け合わせた出汁が、この相乗効果を活用しています。

西洋料理においても、このうま味の相乗効果は伝統的に用いられてきました。フランス料理の出汁は、ブイヨンとフォンの2つに大きく分かれますが、このフォン玉ねぎなどの野菜類のグルタミン酸と牛スネ肉のイノシン酸により、うま味の相乗効果を生み出しています。

また焼肉屋では牛テールスープが定番商品となっていますし、ラーメン業界でも「牛骨ラーメン」という新しいジャンルが生み出され、2013年のラーメントレンドともなりましたし(最近はBSE問題などで牛骨スープはすこし影が薄くなっていますが)、おでんには牛すじが昆布とともに良いうま味を出してくれます。

ここでは、牛の出汁やうまみ、それに関連する知識を学習していきましょう。

 

 西洋の牛のスープ「フォン・ド・ヴォー 」

西洋料理において多用されるスープの一つに「フォン・ド・ヴォー」があります。これはフランス語で「Fond de veau」=「仔牛で取った出汁」という意味があり、世界で最も有名な牛の出汁を使用したスープとえるでしょう。

上でも少し述べましたが、フランス料理の味の基本となる出汁は、大きくブイヨンフォンに分かれます。主にポタージュなどのスープの基本素材となるものがブイヨンソースの基本素材やシチューのベースになるものがフォンです。フォン・ド・ヴォーはそのフォンの1つなのです。

Geshas/Shutterstock.com

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フォン・ド・ヴォーは、仔牛から出るイノシン酸と、玉ねぎや香草から出るグルタミン酸により、うま味の相乗効果を生み出しています。詳しく後で学習しますが、他の出汁よりも作るのにさらに手間がかかるためか、実際に作っているのは出汁にこだわりを持つお店に限られています。

「フォン・ド・ヴォー」と聞くと大変高級感を感じますが、現代では便利なペーストタイプや缶詰めなど、様々なものが市販されています。日本では料理のソースに用いるよりも、カレーに入れてうま味をプラスする使い方がメインです。

 

牛骨や牛テールとBSE

2000年に起こった牛の出汁にとって生存に関わる出来事、それがBSE問題です。消費者が牛骨や牛肉を使った料理を敬遠する重大な出来事となりました。10年以上前の出来事ですが、それでもこの単語は記憶の中に残っている方も多いでしょう。

イギリスやアメリカで確認されたBSEとは、牛の脳がスポンジ状に変質してしまう症状で、発症した乳牛や肉牛を加工した肉骨粉により媒介されてしまう事、BSEが発症した牛の危険部位を食べることにより人間も発症する可能性がある事などが次々と明らかになりました。認定された危険部位の中には、市販の牛骨エキスの素材としても使用されていた「脊椎」が含まれていた事などにより、牛肉離れを引き起こしました食の一大事件です。

 

牛の出汁や牛テールなどの現在の安全性は?

otc/Shutterstock.com

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改めて思い出すと怖い記憶がよみがえるこの問題ですが、現在でもフォン・ド・ヴォーなどの出汁は販売されていますし、焼肉店では牛テールスープは定番メニューです。その安全面はどうなっているのでしょうか。

現在、市場に出回っている牛骨や牛テールは和牛やオーストラリア産のものがほとんどで、特にブランド物の和牛は肉骨粉を使わない管理された飼育体制がとられているので安全性・信頼性が高いと言われています。また、オーストラリア産の場合は、厳密な検疫が行われていることなどもあってこちらも安全性が高いと言われています。ですので、現在肉屋などで入手できる牛骨・牛テールは安心して料理に使うことが出来ます。

お店で調理され提供されているものも、はっきりと断言することはできませんが、信頼できるお店であれば安全性は高いと言えるでしょう。

 

■Lesson2-9 まとめ■

  • 牛の出汁は西洋料理において欠かせない存在である。
  • 日本でも、おでんの牛すじなど、牛の出汁うま味を活用したレシピがある。
  • 「フォン・ド・ヴォー」があります。これはフランス語で「Fond de veau」=「仔牛で取った出汁」という意味である。玉ねぎなどの野菜と合わせることで、うま味の相乗効果を生み出している。
  • BSEなどの問題もあったが、現在は和牛やオーストラリア産の牛骨やテールを使用することにより、その安全性は守られているといえる。