かつおぶしや煮干しはもとより、他の魚からもおいしい出汁がとれます。そのため、世界にはお肉と同じくらい、魚のうま味を活かしたスープがあります。
魚出汁の日本代表 アラ汁
特に、魚のアラを利用した出汁で作る郷土料理は多く、「アラ汁」は魚を余すところなくいただく日本の知恵の一つです。アラを使った出汁を「くさだし」ともいい、上手に出汁をとらないと生臭くなるのが難点ですが、きちんと処理をすることで、魚のアラと昆布でわずか20分程度火にかけて作ることができます。
多かれ少なかれ独特の臭みがあるので敬遠する人もいますが、魚の骨や血合いも摂れるので栄養も豊富です。またアラは魚を下ろしたあとの廃棄物となる部分ですから、安く手に入るのも魅力です。特に、お魚屋さんと親しくなるとびっくりするくらいのお値段で安く分けてもらえることもありますので、ときには声をかけてみるとよいかもしれません。
おいしいアラ汁作りのポイントはネギやゴボウなどの香りの強い野菜を加えることです。他の出汁やスープと同じように、独特の臭みも弱める効果があります。
一方、もう1つ日本の魚介類のうま味を活かした汁物に「潮(うしお)汁」があります。澄んで上品な味わいの汁物で、彩り豊かな野菜を添え、季節感を見て楽しむ演出もなされる日本の「おもてなしスープ」といえるでしょう。
簡単アラ出汁レシピ
- アラ(頭、カマ、中骨)をよく洗い、両面にしっかりと塩をふり20〜30分程度冷蔵庫に置く
- それをさっと熱湯にくぐらせて(霜降り)冷水にとり、取りそこねた鱗や血のかたまりを綺麗に洗い水をきる。
→このように塩で身をしめてから熱湯に通すことで生臭い血液が凝固してとれやすくなり、ウロコなども完全に除くことができます。霜降りの代わりに、薄塩をふったアラをグリルなどで焼いて煮出してもコクのあるおいしい出汁がひけますが、青魚の大切な栄養成分が焼くことで流れ出てしまうので栄養を優先する場合は前者がおすすめです。 - アラは必ず水から煮る。
→うま味の溶出は水温と関係が深く、水温が高いほどうま味の溶出量が少なくなってしまいます。 - 鍋にアラと昆布をいれ水をかぶる程度に注ぎ、中火にかけひと煮立ちさせたら差し水をする。
→こうすることでわずかに濁っていた汁は次第に澄んできます。 - 湧いてきたら弱火にしてアクを丁寧に取り除きながら静かに20分程度煮出す。
→昆布を入れたままにすると味が強く出すぎたり、粘りや雑味が出てきてしまうため、湯が沸いて浮いてきたら、味を見ながらちょうどよいところで引き上げましょう。 - 20分ほど加熱するとうま味がしっかりと抽出されてくる。味見をしてよい頃合いとなったら、目の細かいざるか、こし器でこす。
→コラーゲンも溶け出し汁にコクがついたおいしいアラ出汁の完成です。
この出汁はそのまま潮汁としても、かけつゆにしてもよいですし煮物にも利用できます。また和食だけでなく洋のだしにも使えるので、マスターすればスープソムリエとしてスキルアップ間違いなしです。
世界の魚スープ ブイヤベース
魚介のスープといえば、世界三大スープの一つとされるブイヤベースを忘れてはいけません。
もともとは、地中海の漁師たちが売り物にならない魚を鍋に入れて塩で煮ただけの料理でした。しかし、17世紀に南米からトマトが伝えられるとこれが素材に加えられ、さらにオリーブオイルやニンニク、ハーブなどで味が調えられて洗練された料理へと変化しました。
ブイヤベース発祥の地とされているフランスのマルセイユには、「ブイヤベース憲章」と呼ばれる公認レシピもあります。ブイヤベースについてはLesson4-4でレシピも含め詳しく学んでいきます。
■Lesson2-10 まとめ■
- かつお節や煮干しだけでなく、他の魚からも美味しい出汁がでる。
- 魚の出汁はその臭みなどにより好みが分かれるが、香りの強い野菜を一緒に加えることで独特の臭みを弱めることができる。
- 美味しいアラ出汁をひくポイントは塩で身をしめてから熱湯に通す霜降りの工程を行う事である。これにより生臭い血液が凝固してとれやすくなり、ウロコなども完全に除くことができる。
- 水温が高いほどうま味の溶出量が少なってしまうためアラは必ず水から煮る。
- ブイヤベースは元々、地中海の漁師たちが売り物にならない魚を鍋に入れて塩で煮ただけの料理だったが、トマト、オリーブオイルやニンニク、ハーブが加わることで洗練された料理へと変化した。


