Lesson2-8 肉から取る出汁② ぶた

豚から取る出汁

日本では弥生時代から食用とされていたという説もあるほど、豚は付き合いが長い食材です。日本の豚のスープというと、ラーメンでもファンが多い豚骨スープ豚汁が有名ですが、世界にも豚のうま味を利用した料理やスープは沢山あります。

骨付きのあばら肉、すなわちスペアリブは中華や韓国料理にも欠かせない素材です。香りの強いネギなどの野菜と一緒に煮立てて臭みをとります。

豚肉やそれを加工したベーコンはフランスのポトフを始め洋風のスープには欠かせない存在ですし、ブラジルには豚の耳・しっぽ・内臓などを豆と一緒に煮込んだフェジョワーダというスープがあります。

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豚のうまみと野菜のうま味がマッチしたポトフ/AS Food studio/Shutterstock.com

 

部位によって異なる豚のうま味をマスター

豚肉はビタミンBが豊富で女性にも嬉しいタンパク質源ですが、そのうま味は部位によって少しずつことなります。ここでは、豚の5つの部位について、その味やうまみの違いを見ていきましょう。

robuart/Shutterstock.com

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それぞれの部位の特徴

例えばロース部分に注目すると、①ロース・肩ロースは他の部位に比べ脂質と味のバランスがよい、②ロースはコクの余韻や旨味・後味という後味系の 味わいが強い、③肩ロースはロースに比べ先味が強く後味が弱い、という特徴があります。

また、ももは①他の部位に比べ旨味が強い、②もも切り落としは旨味の先味がずば抜けて強い、③そとももは旨味の後味が 特に強い、つまり肉の余韻を楽しめる味わいがあるという特徴がみられます。

さらにバラは①脂質が圧倒的に高い分旨味が弱いですが、雑味由来のコクが強いため、②脂と合わせて濃厚なコクを感じることができる肉質、と言えるでしょう。

このように一口で豚肉といっても部位によって実に様々な味わいがあります。これは料理する際はもちろん、スープを作る時も活用できる知識です。

「どうしてこの伝統スープは豚のその部位を使用しているのか」「アレンジするとしたらどの部位に変えると良いのか」「使用する部位を変えるとスープにどのような違いが生まれるのか」など、スープソムリエとしての応用力の幅が広がるのでぜひマスターしておきましょう。

 

豚のうま味+昆布のうま味=うま味の相乗効果

kps123/Shutterstock.com

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うま味の相乗効果についてはLesson3-3で詳しく学習しますが、ここでは豚肉のうま味の相乗効果について少し先取りして学んでおきましょう。

うま味成分には、グルタミン酸、アスパラギン酸、イノシン酸、グアニル酸がありますが、これには組み合わせる事によってうま味が何倍にもなるものがあります。

肉にはそれぞれイノシン酸が含まれていますが、なかでも豚肉との相性が最もよい相乗効果を生み出すのが昆布です。昆布のグルタミン酸は、イノシン酸と合わせて食べると『うまみの相乗効果』により、飛躍的においしく感じられるようになります。ちなみに、100g中イノシン酸量を比較すると、豚肉:122mg、牛肉:107mg、鶏肉:76mgとなり、豚肉が最も多くなっています。

また、豚の油が水にとけだすことで煮汁の沸点が10度以上も高くなるため、昆布を水だけで煮た場合より、豚肉と煮た場合の方が昆布が約2倍やわらかくなるという効果もあるため、スープではなく煮物などにも活用できる組み合わせと言えるでしょう。

 

この知識をスープに活用してみましょう。豚を使った日本の代表的なスープである豚汁を美味しく作るためには、出汁には昆布を使用するとよい、という事が分かりますね。このような組み合わせを知っていることにより、同じ手間をかけても何倍も美味しく作る事ができるのが、出汁やうま味の専門知識を持っている事のメリットです。

Reika/Shutterstock.com

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ラードでうま味をプラス!

豚の脂身を、ラードといいます。精製されたチューブ入りのものなども市販されているので、手軽に使うことができるものですが、実はお味噌汁に少し加えると、豚汁風味に変身するのです。また、豚肉のうま味を引き立てるのはこの脂身ですので、スープに加えるとコクが出ます。

 

■Lesson2-8 まとめ■

  • 豚のうま味は古くから世界中で活用されてきており、今やスープにも欠かせない存在となっている。
  • 豚肉は部位によりその味やうまみに特徴がある。
  • 豚肉のイノシン酸は、昆布のグルタミン酸との組み合わせにより、うま味の相乗効果で何倍にも美味しくなる。