Lesson 3-3「うま味」の正体をマスター②

イノシン酸

アミノ酸系のグルタミン酸などに対して、イノシン酸は核酸(ヌクレオチド)系のうま味成分です。核酸は、生物の遺伝やたんぱく質の合成を担う物質です。

うま味をアップさせる「熟成」

イノシン酸は、肉や魚に多く含まれています。日本では、煮干しやかつおぶしがその代表格といえるでしょう。ところが、実は、生のカツオにはイノシン酸は含まれていません

yasuhiro amano/Shutterstock.com

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Lesson 2-1 で述べたように、かつおぶしは、おろしたカツオの身を乾燥させ、カビ付けをして作ります。この工程のなかでカビの酵素が働いてたんぱく質を分解し、イノシン酸を作るのです。

これを食品の熟成ともいい、チーズが熟成期間をもつことで美味しさが増したり、トマトなどの野菜が熟すことでうま味が増すのも、この熟成の効果による働きが大きいのです。

干すことでうま味がアップ

同様に、イノシン酸が豊富なのがスルメです。イカも生のままではイノシン酸を含みませんが、干してスルメにすると微生物の働きにより、イノシン酸ができます。

こうした加工方法を生み出した先人の知恵には、脱帽してしまいますね。

 

グアニル酸

JIANG HONGYAN/Shutterstock.com

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和食の出汁をとるための素材では、昆布、かつおぶし、煮干しがすでに上がりました。そうすると、残るのは「干ししいたけ」です。干ししいたけのうま味成分の正体はなんでしょうか。

干すことで生まれる干ししいたけのうま味成分

干ししいたけのうま味成分は、イノシン酸と同じ核酸系のうま味成分でグアニル酸といい、かつお節の「イノシン酸」、昆布の「グルタミン酸」とともに、日本料理の三大うまみ成分と言われています。

イノシン酸同様、実はこの成分も生のシイタケには含まれていません。生のシイタケ100gに含まれるのは、グルタミン酸およそ70㎎で、グアニル酸は含まれないのです。ところが、乾燥させるときに酵素が働くことによって、干ししいたけ100gにはグアニル酸150㎎が含まれることになります。

このように、生のしいたけにも干ししいたけにもうま味成分が含まれますが、その「うま味」は全く異なるものです。両者の味わいは全く異なる、というわけです。ちなみに、グアニル酸は、過熱して調理するときに増加します。

干しいたけのホームメイドうま味パウダー

干ししいたけをスパイスや他の乾燥食材と一緒にフードプロセッサーにかけることで、使いやすいパウダー状にして使用することもできます。スープソムリエの気の効いたプレゼントとしてもぴったりですね。

 

世界のキノコ、トリュフとしいたけのうま味対決

グアニル酸を含む他の食品として、きのこ類全般が上げられます。世界三大珍味の生トリュフと生シイタケ&干ししいたけを「うま味成分」対決させてみました。庶民の味方シイタケだって、「うま味成分」でいえば負けていませんね。

トリュフ vs シイタケの写真

 

■Lesson3-3 まとめ■

  • 肉や魚に多く含まれるイノシン酸は核酸(ヌクレオチド)系のうま味成分である。
  • 核酸は、生物の遺伝やたんぱく質の合成を担う物質である。
  • イノシン酸は、カツオをかつおぶしに、イカをスルメイカに加工することで発生する。
  • 干ししいたけのうま味成分は、イノシン酸と同じ核酸系のうま味成分で、グアニル酸である。
  • グアニル酸はシイタケを干すことにより発生する。